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名古屋地方裁判所 昭和53年(ワ)2557号 判決 1984年6月14日

原告

木戸修

右訴訟代理人

太田耕治

渡辺一平

原告補助参加人

町野弘平

右訴訟代理人

池内勇

朝日裕晶

被告

稲葉重郎

被告

浜嶋宣治

右訴訟代理人

片山主水

被告

右代表者法務大臣

秦野章

右指定代理人

安間雅夫

外一名

主文

一  原告の被告浜嶋宣治及び同国に対する請求、並びに被告稲葉重郎に対する主位的請求をいずれも棄却する。

二  被告稲葉重郎は、原告に対し、金四七五万二〇〇〇円及びこれに対する昭和五三年一〇月二二日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用は、原告に生じた費用の三分の二と被告浜嶋宣治、同国に生じた費用を原告の負担とし、原告に生じたその余の費用と被告稲葉重郎に生じた費用を同被告の負担とする。

四  この判決は、主文二に限り、仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

(主位的請求)

1 被告らは、各自原告に対し、金九四二万四二〇〇円並びに内金五八一万三〇〇〇円に対する、被告浜嶋宣治及び被告国につき昭和五三年一〇月二一日から、被告稲葉重郎につき同年同月二二日から各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は被告らの負担とする。

3 仮執行宣言

(予備的請求)

1 被告稲葉重郎は、原告に対し、金四七五万二〇〇〇円及びこれに対する昭和五三年一〇月二二日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は同被告の負担とする。

3 仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

(被告浜嶋)

1 原告の被告浜嶋に対する請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

(被告国)

1 原告の被告国に対する請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

3 担保を条件とする仮執行免脱宣言

(被告稲葉)

1 原告の被告稲葉に対する主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求の原因

(主位的請求原因)

1(一) 別紙第一物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)は、もと訴外西喜市の所有であり、同土地につき名古屋法務局豊田支局昭和四四年一〇月一四日受付第二一九三八号をもつて債権者を被告稲葉重郎(以下「被告稲葉」という。)、債務者を渡辺義雄及び高田ふみとする第一順位の根抵当権設定登記並びに前同法務局同支局昭和四五年六月二日受付第一四六二五号をもつて債権者を日綿實業株式会社、債務者を伴章木材株式会社とする第二順位の根抵当権設定登記がなされていた。

(二) 被告稲葉は、昭和四六年三月二三日、前記根抵当権に基づき、名古屋地方裁判所岡崎支部(以下「競売裁判所」という。)に対し本件土地の競売を申立て、右事件は前同地方裁判所同支部昭和四六年(ケ)第一二号競売事件(以下「本件競売」という。)として係属した。

(三) 原告は、昭和四八年一二月一九日の本件競売の競売期日において本件土地を代金五〇一万三〇〇〇円で競落する旨の申出をなし、同年同月二四日、競売裁判所の競落許可決定をえ、名古屋法務局豊田支局昭和四九年四月六日受付第一三五七八号をもつて同土地につき所有権移転登記をなし、他方右競売代金は、同年五月三〇日、以下のとおり配当された。

(1) 第一根抵当権者被告稲葉重郎 金四七五万二〇〇〇円

(2) 第二根抵当権者訴外日綿實業株式会社 金一九万四五六八円

(3) 共益費用 金九万九七〇五円

2 右競売手続において、当初目的不動産の鑑定評価を命ぜられた訴外新谷博哉は、昭和四六年四月一七日、本件土地の所在が不明であることを理由に競売裁判所に対し評価不能の報告を提出したため、同裁判所は昭和四八年三月一五日、被告浜嶋に対し再鑑定を命じ、同被告は同年三月一九日付で競売裁判所に対し、本件土地は別紙図面(二)赤斜線表示部分に該当するとしてその範囲を確定したうえ同土地の評価を行なつた。

3 しかしながら本件土地は、前記新谷鑑定人の報告どおり、現地における所在が全く不明であり、当初からその全部又は大部分が不存在であつた。即ち、本件競売は、原始的不能を目的とする無効なものであり、そうでないとしても重大な瑕疵を有していた。

右無効又は瑕疵ある本件競売が行なわれたのは、以下のとおり被告稲葉の故意又は過失と被告浜嶋及び競売裁判所裁判官日高千之の各注意義務違反とが競合したことによる。

(一) 被告稲葉

被告稲葉は、本件土地が当初から不存在であることを知り、又は右存在につき極めて濃い疑問を有しながら本件競売の申立を行なつたほか、前記新谷鑑定人の報告に接した競売裁判所の補正命令に対し、本件土地の占有状態、形状につき相当な調査を行なつて本件土地の存否ないし時効取得の有無を確認すべきところ、これを怠り、漫然旧所有者渡辺義雄の言を信じて再鑑定の際本件土地が別紙図面(二)赤斜線表示部分に該当する旨指示したものである。

(二) 被告浜嶋

被告浜嶋は専門の不動産鑑定士であり、競売裁判所の評価命令を受けた者として、不動産鑑定の第一歩が目的不動産の所在、占有状態の確認にあることを知つており、そのためには隣地所有者の立会を求めるなど適宜必要十分な資料収集を行なうべき注意義務があつたところ、単に被告稲葉又は訴外渡辺義雄の現地指示を安易に信頼し、右必要な資料収集と調査を尽くさなかつたものである。殊に本件競売においては、前鑑定人が土地の所在不明を理由に鑑定不能の報告を行なつていたのであるから、再鑑定人の被告浜嶋に対し、競売裁判所はその旨を告げていた筈であり、その場合には、同被告の本件土地の所在確認等に関する前記注意義務は一層加重されていたものというべきである。しかるに、同被告は単に補助者山田健男をして現地立会をなさしめたのみで自らはこれに立会わず、前記のとおり信頼を措くに足らない被告稲葉又は訴外渡辺義雄の指示に盲従し、その他の調査を何ら行なうことなく、現実には存在しない本件土地を存在するものとして、又は訴外小寺の占有を看過して鑑定評価を行ない、これに信頼した原告をして本件土地の競買申出をなさしめたものである。

(三) 競売裁判所(裁判官日高千之)

競売裁判所は、競売手続を主宰するものとして、また売主と同様の立場に立つものとしていやしくも現地に存在しない不動産ないし全く無価値な不動産を競売し、これによつて競落人に不測の損害を与えることのないようにすべき一般的な注意義務があるほか、本件競売においては当初の鑑定人新谷が本件土地の所在不明を理由に評価不能の報告を提出していたのであるから、目的不動産の所在確認、占有状態につき以下のことを行なうなど一層の注意義務を尽くすべきであつた。

(1) 新谷鑑定人に対する鑑定不能理由の確認

(2) 公図、不動産登記簿と現況の不一致の確認、調査

(3) 再鑑定人に対する前鑑定の不能の説明と目的不動産所在確認に対する指示、監督

(4) 目的不動産の案内人の吟味

(5) 隣地所有者その他への調査、照会

すなわち、右のうち一つ又は二つの手続を履践することによつて、容易に本件土地の不存在又は訴外小寺の占有が判明し、これによつて本件競売手続を以後進行すべきでなく、被告稲葉の本件競売申出は却下すべきであるとの正当な判断を形成しえたところ、競売裁判所を構成する裁判官日高千之は右(1)ないし(5)を何ら行なうことなく、現地の状況を知らない申立人被告稲葉に対し、土地の特定を命ずる補正命令を発したのみで漫然と本件競売手続を進行させ、これを信頼した原告をして本件土地の競落をなさしめたものである。右は被告国の公務員である同裁判官が職務の執行として行なつたものであり、また仮に被告浜嶋の鑑定評価も被告国の職務の執行としてなされたものとすれば、国家賠償法一条に基づき同被告は裁判官及び鑑定人の過失につき原告に対し損害賠償の責を免れない。

よつて、被告稲葉は、本件土地の全部又は一部不存在を知りながら、又は過失によりこれを知らずに本件競売を申立てた債権者として民法七〇九条の不法行為による損害賠償責任又は同法五六八条三項の担保責任を、また、被告浜嶋は鑑定人としての注意義務を著しく欠いたものとして同法七〇九条の責任を、被告国は裁判官又は裁判官及び鑑定人双方の職務執行における過失により、国家賠償法一条の責任をそれぞれ負う。

4 損害……(一)ないし(三)の合計金九四二万四二〇〇円

(一) 競売代金 五〇一万三〇〇〇円

原告は、前記のとおり本件土地を五〇一万三〇〇〇円で買受ける旨の申出をなし、昭和四九年三月二五日までに右金員を納付した。しかるところ、本件土地は現地に存在せず又は所在不明であり、結局原告は本件土地を取得することができなかつたため、右競落代金相当の損害を蒙つた。

(二) 補助参加人町野に対する損害賠償債務 二八一万一二〇〇円

原告は、昭和四九年四月一九日、補助参加人に対し、本件土地を売却したが、その後本件土地の全部又は大半が不存在であることが判明したため右補助参加人は昭和五三年五月一二日右売買契約を解除し、その結果、原告は売買契約の条項に基づき違約金二八一万一二〇〇円の支払義務を負うに至つた。右金員も本件競売の瑕疵と相当因果関係を有する損害である。

(三) 弁護士費用 一六〇万円

原告は、昭和五三年七月一〇日、原告訴訟代理人弁護士太田耕治に対し本件訴訟の提起、遂行を委任し、同日着手金八〇万円を支払い、かつ報酬金八〇万円の支払を約した。本件訴訟の複雑性、困難性に照らせば右弁護士費用も本件瑕疵ある競売と相当因果関係にある損害である。

よつて、原告は被告稲葉に対しては不法行為又は民法五六八条三項の規定に基づき、被告浜嶋に対しては不法行為に基づき、被告国に対しては国家賠償法一条に基づきそれぞれ前記損害金九四二万四二〇〇円とこれに対する不法行為後の日である本訴状送達の翌日(被告浜嶋宣治及び被告国につき昭和五三年一〇月二一日、被告稲葉重郎につき同年同月二二日)から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(被告稲葉に対する予備的請求原因)

仮りに、全被告に何らの過失がなかつたとしても、原告は、本件土地の全部又は一部の不存在により競買の目的を達することができなかつた。このため、原告は、昭和五三年九月五日付内容証明郵便をもつて第一根抵当権の根抵当債務者渡辺義雄、同高田ふみ及び第二根抵当権の根抵当債務者伴章木材株式会社に対し、それぞれ本件競売による売買契約を解除する旨の意思表示をなし、右意思表示はいずれもその頃同人らに到達した。

しかるところ、右債務者らはいずれも無資力で、右売買契約解除による代金を返還することができない。

また、被告稲葉は、原告の損失において不当な利得を得ている。

よつて、原告は被告稲葉に対し、民法五六八条二項の規定又は不当利得返還請求権に基づき、同被告が本件競売において配当を受けた金四七五万二〇〇〇円とこれに対する受領後の日である昭和五三年一〇月二二日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による法定利息の支払を求める。

二  請求原因事実に対する認否<以下、省略>

理由

一本件土地がもと訴外西喜市の所有であつたこと、同土地につき名古屋法務局豊田支局昭和四四年一〇月一四日受付第二一九三八号をもつて債権者を被告稲葉、債務者を渡辺義雄及び高田ふみとする第一順位の根抵当権設定登記並びに前同法務局同支局昭和四五年六月二日受付第一四六二五号をもつて債権者を日綿實業株式会社、債務者を伴章木材株式会社とする第二順位の根抵当権設定登記がなされていたこと、被告稲葉が、昭和四六年三月二三日、名古屋地方裁判所岡崎支部に対し前記根抵当権に基づき本件土地の競売を申し立て、本件競売事件が同庁同支部昭和四六年(ケ)第一二号競売事件として係属したこと、当初本件土地の鑑定評価を命ぜられた訴外新谷博哉は、本件土地の所在が不明であるとして昭和四六年四月一七日競売裁判所に対し評価不能の報告書を提出し、このため同裁判所裁判官日高千之は更に昭和四八年三月一五日被告浜嶋に対し再鑑定を命じたこと、同被告は同年同月一九日付で同裁判所に対し、本件土地が別紙図面(二)赤斜線部分に該当するものとして同土地の評価を行なつたこと、原告は、同年一二月一九日の競売期日において本件土地を代金五〇一万三〇〇〇円で競落する旨の申出をなし、同年同月二四日、競売裁判所の競落許可決定を得て前同法務局同支局昭和四九年四月六日受付第一三五七八号をもつて同土地につき所有権移転登記をなしたこと、他方右競売代金は、昭和四九年五月三〇日、共益費用として金九万九七〇五円が、第一順位根抵当権者被告稲葉に対し金四七五万二〇〇〇円が、第二順位根抵当権者訴外日綿實業株式会社に対し金一九万四五六八円がそれぞれ配当されたこと、

以上の各事実は当事者間に争いがない。

二右当事者間に争いのない事実と<証拠>を総合すれば、以下の事実を認めることができる。

1  本件土地は、旧土地台帳及び登記簿上、もと愛知県西加茂郡挙母町大字梅坪字西山四番の一〇二と表示されていた土地で、右土地台帳の所有者欄には「梅坪持」と記載され、大字梅坪の所有であつたが、大正三年四月一一日、町村合併に伴い西加茂郡挙母町の所有するところとなり、登記簿上も同年同月同日前記大字梅坪の所有権保存登記がなされたのち同日付で右挙母町への所有権移転登記がなされた。その後、本件土地は、昭和一八年二月一五日、右挙母町から西山土地区画整理組合に贈与され、昭和一九年一月六日右区画整理組合から吉田悦三郎へ売渡され、その旨の所有権移転登記手続がなされた。そして、その後も本件競売申立がなされるまで、本件土地につき転々と所有権が移転されてきた。この間、昭和三四年五月一日、挙母市(前記挙母町が昭和二六年市制を施行したもの)が豊田市と市名変更されたことに伴い、昭和三五年六月一一日、登記官の職権により現表示のとおり表示の変更と表題部改製が行なわれた。

2  本件土地は、法務局備付の若草町の土地台帳附属地図(乙イ第二、第三号証、以下「若草町公図」という。)によれば、別紙図面(一)表示のとおり、豊田市若草町一丁目と同町四丁目との境に存し、かつ、豊田市若草町と西加茂郡猿投町(現在の豊田市大清水町)との町界に存する土地として表示されている。すなわち、本件土地は逢妻女川の西岸にあり、同川岸によつて東側を画され、西方より本件土地の南西端との接点までは若草町四丁目と猿投町の境界をなして南西方向に延びている道路(別紙図面(一)赤色表示の道路で、西方より本件土地の南西端との接点までは、右道路の北側が町界となつている。)によつて南側を画され、西側を猿投町との町界によつて画された、ほぼ三日月形の土地であり、また土地宝典(甲第一号証の四の五枚目)にも右図面とほぼ同一の位置・形状の土地として表示されている。

3  一方、前記挙母町梅坪(現豊田市若草町)に境界を接する西加茂郡保見村大字下伊保字大清水(第二次世界大戦後猿投町大字下伊保字大清水となり、昭和四五年三月一日豊田市大清水町大清水となる。)一帯の土地はもと山林であつたが、農林省の外郭団体である開拓営団が昭和一六年頃から畑地又は薪炭採草地としてこれを買収し、測量、道路・水路の整備等をして昭和一九年頃から入植者を募り開拓を行なつた。戦後右開拓事業は農林省に引継がれ、昭和二三年保見大清水開拓農業協同組合が設立されたのち、右開拓地は被告国から同組合に対し自作農創設特別措置法の規定に基づき売渡され、更に同組合から各入植者に対し払下げが行なわれた。その結果、別紙図面(二)記載のとおり大清水町の公図(甲第九号証)が作成された。

右公図によれば、別紙図面(二)赤色表示の道路の南側が若草町と猿投町の境界となり、しかも猿投町の町域は逢妻女川の東岸で右道路の北側にまで及んでいる。そして、被告らが本件土地であると主張する別紙図面(二)赤斜線表示の土地は、前記組合が昭和二六年二月一日頃に被告国から売渡しを受け、昭和二七年に訴外小寺作金に貸し付けた土地の一部であつて昭和二六年二月一日土地台帳に登録され、昭和二九年六月二五日所有権保存登記がなされている。訴外小寺は、昭和二七年以来、右土地を別紙第二物件目録記載の土地として耕作を続け、昭和四〇年三月一日に前記組合から贈与を受けたが、その後昭和五三年一〇月六日、豊田市は逢妻女川改修のため、右小寺から右土地の一部を買収し、同年一一月二七日一四九番一二の土地として所有権移転登記を行ない、現在に至つている。

4  ところで、別紙図面(二)赤色表示の道路は、昭和一八年頃、前記開拓営団によつて開設され、その後市道として豊田市に移管された通称「大清水一号線」(以下、「本件市道」という。)であつて、本件市道の逢妻女川の西側附近は旧来の道路(別紙図面(一)赤色表示の道路)をほぼ当時の位置そのままに拡幅整備したものである。

5  被告稲葉は、昭和四四年一〇月一三日、本件土地及び別紙第三物件目録記載の土地を共同担保として両土地の所有者であつた渡辺義雄と訴外高田ふみに対し金二〇〇万円位を貸し渡し、本件競売の前提となつた根抵当権設定登記を行なつたが、右金銭貸借に先だち、右渡辺が被告稲葉を現地に案内し、漠然と本件土地としてほぼ別紙図面(二)赤斜線表示の土地を指示した。

6  右渡辺は、被告稲葉に対し、本件土地及び別紙第三物件目録記載の土地を任意に売却し、右代金をもつて前記借入金債務の返済にあてる旨申し向けていたが、昭和四五年四月五日、右二筆の土地を西喜市に売却し、同年五月一五日同人に対し所有権移転登記を行なつた。そしてそののちも右渡辺が被告稲葉に対する借入金の返済を行なわなかつたため、右稲葉は、昭和四六年三月二三日本件競売の申立を行ない、同日競売開始決定を得た。

7  本件競売の係属した名古屋地方裁判所岡崎支部においては、当時目的物件の鑑定評価を法務局職員に依頼して行なわせる慣行であつたため、担当裁判官は、昭和四六年四月二日付で名古屋法務局豊田出張所長の新谷博哉に対し、本件土地及び別紙第三物件目録記載の土地につき、同月一九日までに鑑定評価を提出するよう命じ、これに対し、同人は一人で現地調査に臨み、同月一七日、次のとおり右両筆の土地のいずれについても評価が不能であるとの報告書を提出した。

別紙第三物件目録記載の土地

現地調査の結果、一番一から一番六までの境界が明確でないため該当土地の確認が困難であり、仮にその境界が判明したとしても登記簿上の面積と現況とにかなりの相違があると考えられるので評価が困難である。

本件土地

当該土地は、地図上では旧猿投町との境に所在することになつているが、現地調査の範囲では該当土地の所在の確認が困難で評価ができなかつた。

8  右報告に接した競売裁判所は、昭和四六年六月五日申立人債権者被告稲葉に対し、同年七月二〇日までに右両土地の所在を明確にするよう補正命令を発し、これを受けた右稲葉は藤村義久(紹介者)にその旨を告げ、旧所有者渡辺義雄に対し現地案内方を依頼するよう申入れたため、右藤村は渡辺に対しその旨依頼した。また被告稲葉も渡辺に対し、直接現地を案内するよう申入れたが、渡辺は「借金をそのうち返済するから。」などと答え、なかなか右申入れに応じようとしなかつた。

競売裁判所(担当書記官)は、電話又は手紙で何度も現地案内につき被告稲葉と連絡をとつたが、その度ごとに同人から猶予を請われ、また利害関係人に対する送達等に手間取りかなりの期間を経過してしまつたが、昭和四八年三月五日に至り、ようやく、前記渡辺が現地を案内する旨の連絡があつた。そこで同書記官は、それ以前の同年二月下旬頃に鑑定を依頼して承諾を得ていた不動産鑑定士である被告浜嶋に対し、同年三月九日、渡辺が裁判所へ出頭する三月一五日に出頭して同人の案内のもとに現地を見分するよう連絡した。なお、同書記官は、被告浜嶋に対し、右鑑定を依頼する際、当初の鑑定が当該土地の所在の確認が困難で不能になつたので再鑑定を依頼する旨を告げている。

9  右現地見分の当日、被告浜嶋は、風邪をひいてしまつたため、補助者の山田健男を代理人として立会わせることにしたので、被告稲葉、渡辺及び右山田が裁判所に出頭し、右山田が評価命令書を受領したのち右三名で現地に臨み、渡辺の指示により、目的物件の特定を行なつた。その際渡辺は、本件土地として、本件市道の北側でかつ逢妻女川の西側にある三日月形の土地すなわち訴外小寺の占有する別紙図面(二)赤斜線表示の土地を指示し、山田は若草町公図に示された本件土地の形状、道路及び逢妻女川との位置関係面積がほぼ公簿面積に合致することから前記指示に間違いはないと判断した。その数日後、被告浜嶋は右山田の案内によつて本件土地の現地調査に赴き、右山田から現地立会時の渡辺の指示につき説明を受け、別紙図面(二)赤斜線表示の土地の形状等と若草町公図の表示との対比により、同人もまた右土地が本件土地に間違いないと判断し、右公簿面積により評価額は金六八七万七〇〇〇円との評価を行なつたうえ不動産評価書を作成し、同年四月五日、これを競売裁判所に提出した。

10  同裁判所は、旧所有者渡辺の現地案内の結果、右のとおり評価書が提出されたため、目的物件の特定ができたものと考え、本件土地についてのみ競売を行なうこととし、第一回競売期日として昭和四八年五月二三日、最低競売価格を前記金額、現況荒地、賃貸借関係なしとする公告を行なつた。しかし、右競売期日には買受人が現われず、最低競売価格を金六一八万九〇〇〇円と低減したうえ同年七月一八日の第二回競売期日を公告したが、同期日にも競売ができなかつたため更に価格低減をして順次第三、第四回の競売期日の公告を行なつたところ、前記のとおり同年一二月一九日の第四回期日に原告が代金五〇一万三〇〇〇円で買受申出を行なつたため、同月二四日競落許可決定を行なつた。

しかるに、原告は昭和四九年一月一六日に発せられた代金納付命令に従わなかつたので、同裁判所は同年三月六日再競売に付す旨の決定を行ない、右期日の公告をしたところ、同月二五日になつて原告が代金を納付してきたため、同年五月三〇日、前記のとおり配当がなされ、本件競売手続は終了した。

以上の事実を認めることができ、被告稲葉本人尋問の結果中、同人が昭和四八年三月一五日の現地立会をしていないとの供述部分は、<証拠>に照らし措信し難く採用しない。

三1  原告は、本件土地がそもそも不存在であり、仮にそうでないとしても所在不明であること、更に所在が明らかになつたとしてもその面積は公簿面積のごく一部に過ぎないことを主張するので、それらの点につき判断する。

2  前記認定事実によれば、若草町公図に表示された本件土地の所在位置、形状等で特徴的な点は、以下の三点である。

(イ)  土地の東側を逢妻女川西岸に接していること

(ロ)  西側境界は若草町と旧猿投町との町界でもあること

(ハ)  南側は別紙図面(一)赤色表示道路に接していること

そして、別紙図面(一)と同(二)とを対比し、検証の結果を総合して検討するとき、これら三条件にかなう土地は被告らの主張する位置即ち別紙図面(二)赤斜線表示の土地以外にないものと認められる。すなわち、前記二、4判示のとおり、別紙図面(一)赤色表示の道路にほぼ沿つて図面(二)の本件市道が開設されたものと認められるから(このことは、この二本の道路は特に逢妻女川の西側附近において形状(幅は後者の方が広いが)、方向が類似していること、前者は道路の北側、後者は道路の南側が境界になつているという違いはあるがいずれの道路も若草町と猿投町の町界になつていることから合理的に認定することができる。)、右赤色表示の道路と本件市道とを重ね合わせると、本件土地は別紙図面(二)赤斜線表示の土地に該当する。そして、右土地と別紙第二物件目録記載土地とは少くとも大部分現地で重なり合う土地、すなわち、二重に登記された土地ということにならざるを得ない。

3  ところで、別紙図面(一)赤色表示の道路と別紙図面(二)の本件市道との位置関係について、証人林富雄は、別紙図面(一)赤色表示の道路は赤道(あかみち)と呼ばれていた道のようであり、その道は本件市道より南(逢妻女川の川下)の方にあつた旨供述するが、他方において、本件市道は自分が兵隊に行つている間にできたものであるため、右赤道との位置関係は正確には判らないとも供述しており、同証人の証言は必ずしも明確とはいえない。そして他に右赤道が本件市道の位置以外の所に存在していたことを認めるに足りる証拠はない。仮りに本件市道が右赤道とは別個に、その北側に昭和一八年頃新たに開設されたとすると、本件市道開設前には町界を示すべきものが何もなかつた大清水町と若草町との境界線上に本件市道を開設したということになり、本件市道の開設により従来赤道の北側にあつた町界を本件市道の南側に移動したことになるが、そのように見るよりは、従来より大清水町と若草町の境界は変化がなく、既に存在した別紙図面(一)赤色表示の道路をほぼ当時の位置そのままに拡幅整備したものと見る方が自然であるから、証人林の前記供述はこの点からも採用し難い。

また、証人永田太は、昭和五三年一〇月六日に豊田市が逢妻女川改修のため訴外小寺作金から別紙第二物件目録記載の一四九番一二を買収した当時の土木課長として、豊田市が買収した土地は大清水地内の土地だと判断している旨供述するが、他方、同市が右買収に当り参照した資料は大清水公図のみであつた旨供述しており、同証人の前記供述は、必ずしも確実な根拠に基づくものとは言えないから、採用し難い。

なお、別紙図面(一)赤色表示の道路が同図面(二)の本件市道の南側にあつた道路だとすると、前者(の北側の線)より南が若草町、後者(の南側の線)より北が猿投町ということになり、前者と、後者に挾まれた部分はいずれの町にも属さない地域になるという不自然な事態が生ずることになり、これらの検討を総合すると前記認定を首肯することができる。

4  そこで、このように二重になされた登記の効力につき検討するに、本件土地の所有権保存登記は大正三年四月一一日になされているのに対し、別紙第二物件目録記載の所有権保存登記は昭和二九年六月二五日になされているものであるから、先になされた本件土地の登記のみが有効で、後になされた別紙第二物件目録記載の土地の登記は無効というべきである。

従つて、本件土地は別紙図面(二)赤斜線表示の土地として存在し、その面積は、前記二、9判示のとおり、本件土地の公簿面積にほぼ合致するものである。

5 しかしながら、前記二、3記載の事実によれば、別紙図面(二)赤斜線表示の土地については、昭和二六年二月以降昭和四〇年二月末日までは保見大清水開拓農業協同組合が、昭和四〇年三月一日以降は訴外小寺作金が引続き所有の意思をもつて平穏かつ公然にこれを占有してきたものであるから、原告は、訴外小寺の時効取得の反射的効果として、所有権を取得できないものと認められる可能性が大きい。

尤も訴外小寺が時効を援用するか、しないかは不明であるが、同人は本件証人として、別紙図面(二)赤斜線表示の土地は昭和二七年以来自分が耕作している自分の所有地である旨明言しているのであるから、前記認定の事実関係の下においては、同訴外人が時効を援用しないことが明らかでない限り、同人が右土地を時効取得し、これにより原告は右土地を取得できないものと認むべきである。

四以上のとおり、本件土地は別紙図面(二)赤斜線部分に実在し、被告らの認識にこの点で誤りはなかつたものというべきであるから、本件土地の不存在又は所在地判断の誤りを前提とする原告の請求は、その余の点につき判断するまでもなく理由がない。

しかしながら、本件土地の所在がこれまで必ずしも分明でなかつたことは、本訴における原、被告の主張自体から明らかであり、しかも同土地には、取得時効の要件を備えた第三者の占有があつたものであるから、そのような土地を売却し、もつて原告の競落目的を不能に帰せしめた点につき更に被告らの過失の有無を判断する。

1  被告稲葉

同被告は本件競売の前提となつた根抵当権設定登記がなされるに先立ち、本件土地の旧所有者兼債務者渡辺義雄より本件土地につき現地で指示を受けたほか本件再鑑定の際には、右渡辺をして本件土地の現地案内と同土地の指示説明をなさしめたものである。

そして、前記認定事実によれば、右渡辺はいずれの際においても、本件土地が概ね別紙図面(二)赤斜線部分に該当する旨指示していたほか、同被告も右指示に信頼して根抵当権を設定し、渡辺ほか一名に金二〇〇万円を貸し渡すなど、競売申立及び再鑑定当時本件土地の存在、面積、占有状況につき疑念を生ずるような特段の事情を認めることはできないから、同被告は不存在の土地を存在するものと認識し、又は第三者の適法な占有を看過して本件申立をしたものとはいえず、同被告には申立人としての過失は何ら存しないものというべきである。

2  被告国

(一)  鑑定人浜嶋

競売事件における評価は、鑑定人が競売裁判所の補助的機関として行なう非権力的行為であるから、仮りに評価の前提事実が実体関係と符合しなかつたとしても、それが評価の誤りをきたし、ひいてはこれを採用した競売裁判所の各種決定に対する不服申立事由等となしうることは格別、独自に評価そのものの誤りを理由として国家賠償法一条に基づく責任を追求することはできないものと解される。

よつて、評価又はその前提事実の誤りは、本来それを採用した競売裁判所の責任判断の中で検討されるべきものであるが、原告の主張によれば、評価を行なつたこと自体がその後の手続を進行させる契機となつたというのであるから、便宜上、裁判所の判断形成と区別して検討を行なう。

原告は、要するに十分な調査により、鑑定人浜嶋は本件土地の所在不明(又は第三者占有)を認識すべきであり、それを理由に「評価不能」の報告書を提出すべきであつたのに、右調査を尽くさなかつた過失を主張する。

しかしながら、適正な評価は、正確な競売不動産の現況把握なしには行なうことができないけれども、目的物件の現況把握は本来評価人の固有の権限ではなく、また、当時右把握に適正を期するための手段・方法につき民事執行法五八条のような立入権限、質問権限についての規定はなかつたものである(執行官についても、民事執行法五七条のような現況調査の規定はなく、競売法二四条、民訴法六四三条の賃貸借の取調の規定があつたにとどまる)。従つて鑑定評価は非訟事件の性格を有する競売手続の一環として、そのための調査確認方法も相当と認める方法で行なえば足り、具体的には、現地調査を行ない、登記簿、公図、土地宝典等の表示と当該土地の所在、形状、面積とを対比することをもつて通常の場合十分であるというべく、右現況と公図等の表示とが著しく異なつているとか、占有状態につき特に異常がある(例えば、登記簿等に現われておらず、申立人、所有者らからも聞いていない占有者がいること)などの事情が認められない限り、登記簿表示のとおりの土地が存在し、かつ、評価に当り考慮すべき占有者はいないものとして鑑定評価を行なえば足り、このことは再鑑定においても基本的には変りがないものと解すべきである。

これを本件についてみるに、鑑定人浜嶋は、競売裁判所から物件の所在確認が困難なことを理由に再鑑定の依頼を受けたが、当初の鑑定と異なり、旧所有者渡辺義雄らによる現地案内が行なわれたこと、その際、補助者山田健男を立会わせ、その後、同人の案内で現地に赴き、同人から右渡辺の指示を伝え聞き、右指示が若草町の公図、土地宝典等の表示に一致しており、占有者も認められなかつたため、本件土地が別紙図面(二)赤斜線部分の土地に該当し、評価すべき対象物件であると判断して本件評価を行なつたものである。

右のとおり、鑑定人浜嶋は、旧所有者の指示に基づく現地調査の結果と、登記簿、公図等との照合に基づき、本件土地の存在及び占有状態の確認を行なつたものであるから鑑定人としての注意義務に違反したところはない。

(二)  競売裁判所(裁判官)

前記のとおり、競売法下における競売には、まだ民事執行法上の現況調査制度のような目的物件の現況把握のための有効な手段が採用されておらず、また競売事件の非訟的性格から、競売裁判は、書面を重視し、自由な証拠方法を選択し、簡易な処理方式によつて当該手続を進行するうえで必要十分と認められる限度で事実調査を行なえば足り(当該土地の所在、境界、占有関係等の確認について、境界確定ないし所有権確認訴訟における受訴裁判所が審理するような調査を行なうことまで要求することは制度上不可能であり、また法の要請する迅速な処理の見地から見ても相当でない。)、具体的にいえば、登記簿の表示、公図の表示、不動産評価書、賃貸借取調報告書等の一件記録を検討し、右資料間に不一致ないし矛盾がなければ、一応当該物件は存在し、また占有関係についても問題はないものと認めて競売手続を進行させるべきである。

本件において、競売裁判所は、当初の新谷鑑定人から、本件土地の所在確認が困難で評価不能との報告を受けたため、申立人債権者被告稲葉に対し、本件土地の所在を明確にするよう命じ、その結果本件土地の前所有者渡辺義雄が現地案内することになつたので、不動産鑑定士の資格を有する被告浜嶋に対し、右渡辺の指示によつて本件土地の現況を確認し、その評価を行なうことを命じた。そして、その後被告浜嶋から右鑑定の結果を記載した不動産評価書が裁判所に提出され、その記載内容が公図その他一件記録の記載と不一致ないし矛盾するところがなかつたので、競売裁判所は以後の手続を進行させたものである。

従つて、競売裁判所が本件競売を行なうに当たり、執行裁判所としての注意義務に違反したことはないというべく、従つて、競売裁判所(裁判官)に過失は認められない。

尤も、同裁判所が当初鑑定にあたつた新谷鑑定人から、目的物件確認不能の事由を詳細に聴取するなどの行為に出た事実は認められず、仮に右に出ていたとすれば、本件土地が前示認定のとおり二重に登記された土地であることが判明した可能性もなくはない。

しかしながら、前記のとおり、競売裁判所は、申立債権者に補正を命じ、現地案内させる旨の回答を得て専門家である被告浜嶋に鑑定を命じ、もつて土地の所在に詳しい者をして現地案内をさせるとともに、土地評価の経験豊かな専門家浜嶋をして現地に赴かせこれによつて、本件土地の所在確認を期待したものであり、その結果目的物件の確認がなしえたとして提出された評価書に信頼したとしても、これをもつて競売裁判所に要求される注意義務を欠いたものということはできない。

3  被告浜嶋

被告浜嶋の評価書提出は、競売手続の一環として行なわれたものであるから、右手続の違法事由として主張することは格別、個人の資格における責任を追求することはできないものと解される。また仮にそうでないとしても、前記四、2(一)記載のとおり、同被告には鑑定人としての過失が認められない。

五以上のとおりであるから、その余の点につき判断するまでもなく、原告の被告らに対する主位的請求は理由がない。

六そこで、原告の被告稲葉に対する予備的請求につき判断する。

前記三、5で判示のとおり、本件土地は訴外小寺作金の所有に属するものというべきである。

そして、<証拠>によれば、訴外西喜市は本件土地の所有権を原告に取得させることができないこと、原告が昭和五三年九月五日付内容証明郵便をもつて本件土地の所有者西喜市、第一根抵当権の根抵当債務者渡辺義雄、同高田ふみ及び第二根抵当権の根抵当債務者伴章木材株式会社に対し、それぞれ本件競売による売買契約を解除する旨の意思表示をなし、右意思表示はいずれもその頃同人らに到達したこと、を認めることができ、本件訴訟の経緯と弁論の全趣旨によれば、右債務者らはいずれも無資力であることを認めることができる。

右認定事実によれば、原告は被告稲葉に対し、民法五六八条二項に基づき、同被告が債権者として配当を受けた金四七五万二〇〇〇円の返還を請求することができるものというべきである。

七結語

以上によれば、原告の各被告に対する主位的請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、被告稲葉に対する予備的請求は理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(川井重男 原昌子 三代川俊一郎)

別紙第一物件目録

愛知県豊田市若草町一丁目二一番

山林 八四二平方メートル

別紙第二物件目録

(登記簿上の旧表示)

愛知県西加茂郡猿投町大字下伊保字大清水一四九番六

山林 一〇二四平方メートル

(登記簿上の現在の表示)

同県豊田市大清水町大清水一四九番六

山林 七二七平方メートル

右同 所 一四九番一二

用悪水路 二九六平方メートル

別紙第三物件目録

豊田市若草町四丁目一番一

山林 五〇〇四平方メートル

別紙図面(一)、(二)<省略>

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